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お葬式で飾る一本花、樒(しきみ)とその由来について教えてください。

樒は香りと毒性の強い常緑樹で、そのことが一本花として使われるようになった由来と関係しています。

樒(しきみ)とは

 

樒とは、もくれん科の常緑樹で、独特の香りがあり、乾燥させたものは抹香や線香の原料としても使われます。また毒を持つ植物であり、特に果実は毒性が強く、一口食べただけで命の危険があるほどです。葬儀の時に玄関に飾ったり、一本花としてお供えをするときに使われており、葉を納棺の時に敷いて臭い消しの役割を果たすこともあります。一本花とは、故人を自宅などに安置する際に置かれる枕飾りと呼ばれる供物台に置くお供えのひとつで、樒を一輪挿しにしたものを使います。花屋などに注文して用意しますが、遺族が用意する場合もあれば、故人と親しかった人が贈ることもあります。

 

樒が使われるようになった由来

昔、日本では人が亡くなると土葬されるのが一般的でした。しかし、土葬された死体は野犬などに掘り返されることも多く、それを防ぐために香りの強い樒を墓地に植えるなどして死体の臭いを消していたと言われます。また、樒の強い香りを嫌がる動物が多いためそれ自体が動物よけになりますし、実や葉に毒性を持つ樒は、野犬対策としては非常に適しており、そうした風習が現在の門樒や、一本花として受け継がれているのです。現在葬儀の場などに供えられるのは、悪霊除けといった意味があります。

 

現在は簡略化されることも

樒は、葬儀の時などは門樒として大きなものが立てかけられたりしていましたが、かなり場所を取ったり準備が大変だというのも確かです。近年では大きな樒を飾るよりも、樒紙などを使うことが増えてきました。これは、門樒の代わりに紙などに墨で名前を書いたものを掲示するもので、そうすることで樒を飾るのと同じ意味を持たせています。利便性が高いため、都市部を中心に定着しつつある方法ですが、地域によってはまだ樒を飾ることが多い場合もあるので事前に確認しておいたほうがよいかもしれません。

 

まとめ

樒は、独特の香りと毒性があるため、野犬や悪霊を遠ざけるために昔からお墓の周囲に植えられていた植物です。現在でも一本花や門樒などとしてお通夜や葬儀の場に使われています。

現在はスペースの関係などもあって樒紙を使うことも多くなりましたが、地域によっては樒を立てかける習慣が残っていることも多いので、事前に確認したほうがよいでしょう。

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