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vol.36森本千絵氏 × 山本一郎

森本千絵氏 × 山本一郎

霊園は「終わりの場所」から「会える場所」に

株式会社goen°主宰。コミュニケーションディレクター・アートディレクター。

森本千絵 氏

株式会社西鶴 代表取締役

山本 一郎

2018年3月末に西鶴による日本初の試みとしてオープンした、樹木葬のための霊園「千年オリーブの森」。この名付け親であり、日本を代表するアートディレクターである森本千絵氏と西鶴代表の山本は、霊園業界に対してのある共通の想いから、今回お仕事をご一緒させていただくことになりました。

「千年オリーブの森」のクリエイティブが出来上がるまでの舞台裏から、霊園業界の現状に対する想い、そして今後の展望について、対談形式でお伝えいたします。

西鶴と「命のデザイン」をする森本千絵氏との出会い

 

山本:樹木葬という新しいコンセプトの霊園を開発するにあたり、そこにはアートディレクションの力が必要になると考えていました。そんなとき、今回「千年オリーブの森」に植える千年オリーブを提供してくださったプラントハンターの西畠 清順氏から、森本さんをご紹介いただきました。

 

私からすると雲の上のような存在の方でしたので、お仕事を請けていただけるのか心配に思っていたのですが。なぜ霊園業界に興味を持っていただけたのでしょうか?

 

森本氏:私は2007年に博報堂を退職し、独立したのですが、そのタイミングで祖母を亡くしました。祖母がまだ亡くなる前に生前葬のような形式で、家族で教会に集まったのです。祖母は生花の先生だったので、お花もたくさん用意しました。その時に家族が家系図のように並んでいる様子を見て、「こういう命のデザインをしたい」と思ったのです。

 

人とのつながりを表す「goen°」という会社名も、人が生まれて子どもが育っていくところから死んでいくところまで。さらには死んだ先までのすべてをデザインするという覚悟を持ってつけた名前です。

 

あるプロジェクトでストックホルムを旅しながら街のデザインを見ていたとき、霊園の美しさに圧倒されたことがありました。森のように植物で溢れている場所で、「寂しい」「怖い」というイメージとはかけ離れた「また会いに行きたい」と思えるデザイン。幼い子が遠足をしていたりするのです。

 

そういう霊園へのイメージは日本にはなかったので、「goen°」としていつかやるべき仕事だと思い、ずっと霊園を作りたいと周囲の人に話していたところ、西畠さんからの紹介で出会ったのが山本さんでした。なので、この出会いは必然のような気もしています。

 

これまでの日本の霊園は「終わりの場所」

 

山本:最初にお会いしたときに、この話を伺いましたね。私もスイスに訪れた際にガーデンのような綺麗で爽やかな墓地を見かけ、日本の霊園は変わらなければいけないと感じたのです。

 

私はこれまでの日本の霊園に対して否定的な意見を持っていました。汚いし、怖い。汚くて怖いから、だんだんと山の方に墓地が作られだして、お墓参りに行きにくい場所になっている。そして墓離れが進んでしまっているのです。

 

森本氏:日本の一般的な霊園は「終わりの場所」というイメージが強いですよね。空気が循環していないし、音も匂いも違っていて、なんだか寂しい。でも、もし霊園が木と一緒に育ち続けていて、四季があって、春に行けば自然の息吹を感じられる。そんな場所だったら、亡くなった方の息吹も感じられて、大切な人がそこにいるような気になる。その暖かさは、亡くなった方にも、今生きている方にも、大切だと思うのです。

 

山本:そうですね、確かに日本の今の霊園は「終わり」なんですよね。自分が好きだったり、大切だった人のところに、行きたくないという環境を霊園が作ってしまっている。

 

森本氏:「終わりの場所」ではなくて「会える場所」。子どもを妊娠したら産婦人科に行きますよね。生まれて少し経ったら保育園や幼稚園に行く。今、建築家の隈研吾さんと幼稚園のデザインをしているのですが、そういう場所は可愛い方がいいし、みなさんデザインもこだわりますよね。

 

同じことだと思います。霊園もお墓も。「墓参り」というよりも、そこにいる大切な人に会いに足を運ぶ場所。究極的には、子どもがひとりでも行ける場所にしたいですよね。

 

 

「千年オリーブの森」と新しい西鶴のロゴに込められた想い

 

山本20183月末にオープンした「千年オリーブの森」はそのネーミングからロゴデザインやキービジュアルに至るまで、森本さんにアートディレクションをご担当いただきました。日本で初めて、広大な土地で樹木葬を行うという試みですので、私たちも楽しみにしています。

 

 

 

森本氏:さまざまなご縁を結んでくれそうな森の招待状をイメージしています。「私を受け入れてくれそう」と感じられるような暖かみの感じられるデザイン。チャップリンの映画の音楽を聴きながら、デザインをしました。だから、少し音符のような要素もありますよね。

 

これまでの霊園のネガティブなイメージとは真逆の、明るくて、健やかで、永遠に続いていく場所。そういったことをイメージしています。

 

私自身、お墓参りのときに霊園を怖いと感じることがありました。自分の親族のお墓には何も感じないのですが、そこに至るまでの道や少し古くなっているのは怖さを感じてしまう。

 

だけど、西鶴さんの「千年オリーブの森」に怖さは感じない。それ、すごく大切ですよね。

 

 

山本:大切だと思います。私はいままで、よく夜中に開発する霊園に行ったんです。それで1時間ほどひとりでいて、怖くなかったら「よし、ここは大丈夫だな」と。

 

森本氏:怖いときは1時間も居られないんですか?

 

山本:居られないですね。やっぱりその場所が持つ空気というのは大切です。人間関係もそうですよね。気持ちの良い人には良い人ばかりが寄ってくる。やはりそういう気というのは巡っているし、霊園も同じなのだと思うんです。

 

私は陰気なのが本当に好きではないので。そうならないように、というのは最大限、心がけています。

 

 

森本氏:場所だけでなく、人間関係にも良い気が必要だとおっしゃられましたが、私は山本さんがやることであれば間違いないと思っています。私たちもさまざまな方とお仕事させていただいていますが、山本さんとのお仕事は本当に気持ちが良いです。

 

場所やロゴなどが山本さんが山本さんらしく選んだものであれば、それは間違いのではないでしょうか。

 

山本:ありがとうございます。

 

森本氏:そういう謙虚なところがすごいんですよ。今は「千年オリーブの森」や西鶴さんの企業ロゴなどをお手伝いさせていただくことで、種を撒いている段階。これが育っていき、花が咲き、そして大きな森になったとき。想像を超えるほどの喜びを得られるお仕事だと思っています。

 

 

 

 

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