電車は今も昔も人々の出会いと別れの場…
なぜ電車を誘致したのか
これまでハピネスパーク交野霊園には法要施設がありませんでした。
法要施設をつくることは念願でもありましたが、建物を建てるにはスペースが狭く、どうせ建てるならお客様に存分に喜んでいただき、長く愛される場に育てていくことが必要でした。
そんなとき、作家・井上ひさしさんの娘さんが主宰するこまつ座の劇『イーハトーボの劇列車』に広告を出させてもらい、劇を鑑賞させてもらいました。その劇は「死にゆく人の手元に、駅員が“思い残し切符”を渡し、電車に乗り旅立つ」という物語でした。
イーハトーボの劇列車
電車は出会いと別れの場です。
太平洋戦争時には多くの若者が電車に乗り、戦地へと旅立ちました。帰ってくるときもまた電車で帰還し、出迎えられました。
『銀河鉄道999』というアニメでも、主人公の鉄郎少年は永遠の命を授かるために銀河鉄道999に乗り込み、終着駅でそれを放棄し、人は必ず亡くなることを選びました。
『千と千尋の神隠し』でも主人公の千が電車に乗って旅するシーンがあります。
「そうだ、電車は今も昔も人々の出会いと別れの場なのだ。ハピネスパーク交野霊園に電車を置こう。使われなくなった電車を再生し、法要施設として利用しよう」
そう考えるようになった矢先、京都市により京都市電(通称:N電)の譲受希望者募集があり、弊社がこれを譲り受けることになりました。
大宮交通公園内に展示されている時のN電
改修前の状態です。木材が所々朽ちていました。
この電車は、1912年(明治45年)から1937年(昭和36年)まで実際に京都市民の足として京都市中を走り、その後、京都市の大宮交通公園に展示されていたものです。
電車内は腐敗が進み、修繕に悪戦苦闘しましたが、多くのメディアに取り上げていただき、法要施設として、またお客様の休憩室として、大勢の方に利用していただいております。
少年の頃に電車で法要を体験した子どもが、いずれ父となり、またその子どもたちと一緒に電車で法要を体験していただきたいと願っています。
何世代にもわたり愛され、永遠に走り続ける電車を提供していきます。
桜の時期のN電