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vol.24魚住りえ 氏 × 山本一郎

魚住りえ 氏 × 山本一郎

話し方は、人を巻き込んで、味方にできる魔法だと思います。

魚住りえ 氏

魚住りえ 氏の紹介

大阪府生まれ。広島県育ち。
母がピアニストという家庭で3歳からピアノの専門的なレッスンを受け、音感を養う。高校時代、放送部に在籍し、数多くのアナウンサーを輩出しているNHK杯全国高校放送コンテストに出場。朗読部門で約5,000人の中から全国3位に選ばれる。慶応義塾大学時代は放送研究会に所属。

 

95年、日本テレビ入社。「所さんの目がテン!」「ジパングあさ6」「京都 心の旅へ」などを担当。
2004年フリーに転身し、テレビ、ラジオを問わず幅広く活躍中。中でも、2004年からナレーターを務めるテレビ東京「ソロモン流」では、わかりやすく、心に響く語り口に定評がある。 
2006年から「魚住式スピーチメソッド」を立ち上げ、話し方を磨くための指導を行う。経営者や弁護士といったビジネスパーソンを中心に口コミで広まり、多くの方が受講する人気レッスンに。 
本業のかたわら、ピアニストの姉・魚住恵とともに、「姉妹で奏でることばと音色~朗読とピアノ演奏による姉妹コンサート~」にも取り組む。

山本:

今日はどうぞよろしくお願いします。
弊社では、墓石や霊園といった伝統的なものを扱っていて、それに相応するきれいな言葉を話せるようにしています。例えば、「お疲れ様」、「ご苦労様」、「いらっしゃいませ」、「気を付けて」という言葉を使わないようにしています。その理由は、お客様に「いらっしゃいませ」と言った時、「いらっしゃいました」とお客様が言葉を返すことにはならない、コミュニケーションが続かないのがひとつです。コミュニケーションとは、ワントゥワンなので、そこを大切にしています。
魚住さんが、アナウンサーという話す事の大切な仕事をされ、最近『たった1日で声まで良くなる話し方の教科書』の本を出版されていらっしゃいますが、なぜこのような仕事に進まれたのかを教えていただけないでしょうか。

 

魚住氏:

わたしは、話す内容よりも、どう表現するかということを大切にしています。さきほどの「お疲れ様」、「ご苦労様」の言葉は、よほど気持ちを込めないと相手に伝わりにくいと思います。言葉の取捨選択もそうですし、素敵な声で、深々とお辞儀をしながら、ニュアンスをつけて伝えるとういことが内容より重要だと思っています。
わたしは、高校時代に放送部に所属し、その頃から音声技術の習得を始めて、それ以来声を使って表現することを続けてきて、その大切さを理解することができました。その声が持つ力、つまり抑揚をつけて相手の心に入っていく、喜ばせ、和ませて、笑わせて、感動させることができるということを、1人でも多くの人に伝えたいと思って、メソッドを作り、学校を作り、本を出版させていただいたというようになりました。

 

山本:

僧侶の声が小さかったり、声が通らなかったりすると、ありがたくないと耳にしたことがあります。実は美しい声でお経を録音されたテープがあるのですが、それをお通夜で使うことはみなさんもありがたくないと言われ、実際に人がいて表現するということは非常に大事だと思います。僧侶も、お経を読めるだけでなく、声が通ることが大事だと思います。声は表現しながら出さなければならないと思います。

 

魚住氏:

お坊さんがお経を読まれると迫力がありますね。修行され、日々とても練習されるようですね。横になって仰向きに寝た状態でお腹から声を出す練習をされていらっしゃることを聞きました。
いくらすばらしい内容でも、音色や雰囲気が固いと、相手が拒絶反応をおこしてしまうことがあります。

 

山本:

少し話は変わるのですが、わたしは大学時代に、結婚式場の司会のアルバイトをしていました。神式、仏式の挙式から披露宴の司会をしました。当時そういう結婚式専門の学校に行きました。そこでは、発声練習を3ヶ月、鼻濁音、無声音、あるテレビ局のアナウンサーのビデオテープをよく見たりしました。
その当時いろいろな失敗をしましたが、ある挙式が終わったあとに、親族の方から両家の紹介が無かったのですがと、言われたこともありました。他にも、披露宴で仲人が余興で笑いすぎて、椅子から落ちて腦しんとうをおこしたり、新郎の父親が飲み過ぎて、最後の挨拶で倒れられたりしたことがありました。初めのうちは、大丈夫ですかとも言えないのでどうしようとあたふたしていましたが、司会をしていた先輩は、何事もなかったように淡々と落ち着いて司会を進めるようになることができました。話をする仕事には、台本はありましたが、さまざまなハプニングがつきものだと思いました。

 

魚住氏:

そういった失敗や予期せぬハプニングを乗り切ることも、話をする仕事のうえでの技術で大切ですね。

 

山本:

きれいに話をすることは大切だと思います。わたしどもの霊園にいらっしゃるお客様は、大切な方を亡くされて傷ついていらっしゃる方、急に泣かれる方、悲しいはずなのに笑っていらっしゃる方などいろいろなお客様がいらっしゃいます。こちらが変に気を遣いすぎると、余計に傷つけてしまう場合があったりして、お客様の気持ちをフォローするのは一様でなく難しいと思います。一番良い対応は、明るくて、自分の表現を出せることが大事なようですね。人によってそれぞれ違いますが、話すスピード、声の高低差、抑揚は大切だと思います。

 

魚住氏:

お客様に寄り添いすぎず、いい意味で距離をとることができるということでしょうか。
話すスピード、声の高低は大事です。声のスピードと高低は自分で変えられますので、仕事で実践していただけたらと思います。

 

山本:

話し方で最も気をつけなければいけないことは何ですか。

 

魚住氏:

意思を伝えるには、まず音を飛ばさずに話すことが重要です。例えば「~です。」の最後の丸まで意識しながら、気を緩めずに一音一音をきちんと声を出すという心掛けが一番丁寧に伝わると思います。「今日はありがとうございました。」ということであれば、ゆっくり丁寧に言うと、相手はなぜか自分は大事にされているという気持ちになるんです。私がよく生徒に話しているのは、「今日は」の助詞の「は」や、最後の「た。」が消えないように大事に発音するように言っています。そうすると相手の対応が変わってきます。気を付けて話すとゆっくりになり、ゆっくり話すと相手も落ち着いてきます。とてもいい関係を築くことができます。これはわたしの実体験に基づいていて、テレビ局で仕事が一段落したとき、意思を伝えるように一音一音を大切に「ありがとうございました。お疲れ様でした。」と言うと、人は大事にされていると感じるようです。そして不思議と評価があがります。話し方ひとつで、スタッフの方々に大変可愛がっていただき、別の番組でもナレーションをお願いしますというお話になるのです。話し方は、人を巻き込んで、味方にできる魔法だと思います。

 

山本:

同じ言葉で言ってもですね。ゆっくり話すことは大事ですね。結婚式場の司会のアルバイトをしていた時にも、自分ではゆっくりと話していると思っていても、司会会社の社長に話し方が早いとよく怒られました。どこかで早く終わらせようとしていたのかもしれませんね。

 

魚住氏:

緊張していると、テンションが上がって早くなるのでしょうね。
私は結婚式の司会が一番緊張します。このカップルでは二度とないですし、最近ではしっかりとビデオに録画されるので、あとで見てご親族があの司会者の言葉遣いおかしくないと言われるのがいやです。そういう意味でものすごく気を遣います。

 

山本:

お墓の引き渡しも一生に1回なので、失礼やいやな思いをお客様に絶対にさせないという思いでさせていただいています。

 

魚住氏:

素晴らしいお仕事ですね。厳しさもありますけど。お客様からきちんと見送ることができましたと感謝されるお仕事ですね。

 

山本:

一時期、結婚式が、地味婚が主流になり、結婚式をやらないカップルが増え、ブライダル業界が下降気味になった時期がありました。最近またきれいな結婚式場が増えてきて少し盛り返してきた感じです。その代り、昔よりは手作り感があり、仲人を立てずに、新郎新婦が主役という感じに変わってきています。
日本の文化として、結婚式と葬式はきちんとしなければというものがあると思います。そこで大切なのが司会者であり、話し手となってきます。

 

魚住氏:

司会者や話し手の発する声で、会の雰囲気、内容もグレードアップするような、またおごそかで高貴なイメージにもなりますし、とても重要だと思います。一般的には、普段の声と、普段より少し高い声、普段より少し低い声の3つが出せたら、抑揚をつけることができます。普通は、普段の声でしか話したことがないので、人前で話をする時は、カラオケで半音上げるイメージでちょうどいいです。

 

山本:

声の3段階ですね。確かに子供の高い声は、小さくても耳によく届きますね。夏のこの時期になると、稲川淳二さんの怪談話が人気でよく取り上げられます。怪談話は江戸時代くらいから怪談集としてまとめられ、稲川さん自身は、実際心霊体験は少ないようですが、声の抑揚で怖さを出して、人を引き付けていらっしゃるようです。それも声の3段階なのでしょうね。

 

魚住氏:

稲川さんはプロ中のプロでいらっしゃると思います。普通の人は少し高い、普通、少し低いの3段階でずいぶん雰囲気が変わります。高い音は、若さ、明るさ、元気さを表し、より多くの人に届きます。子供の声は高く、よく聞こえてきます。低い声は、対1人、対2人に悩みを打ち明けたり、誠実に話をする時に使うと良いです。話をするときのシチュエーションによって使い分けると良いです。デートの時は、男性は結構早口で自分の話をする傾向があるので、ゆっくり、口の下の辺りから声を出すイメージで話をすると、劇的にもてると思います。

 

山本:

今のお話を聞くと、声の3段階はよく理解できます。私の学生時代の授業でも、先生の声の調子が一定だと確かに眠たくなりました。声の大小の上手な先生がいらっしゃって、その先生の担当クラスの平均点が、他のクラスとずいぶんと違った思い出があります。

 

魚住氏:

ある通信販売会社の元社長さんも、普段話をされる時の声も商品の説明をされていらっしゃる時の声も普通なのですが、どうしてもお客様にお伝えしたい時に自然に情熱で声が裏返った高い声になるそうです。

 

山本:

当社も社内で声の3段階の使い方を実践して行けるようにしていきます。
本日はどうもありがとうございました。

 

たった一日で声まで良くなる話し方の教科書

魚住 りえ 著
発行日 2015年08月7日
単行本
頁数 217
1,300円(本体価格)
ISBN-13: 978-4492045763

 

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