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vol.22清水祐孝 氏 × 山本一郎

清水祐孝 氏 × 山本一郎

山本社長が取り組まれている、残された人々に喜んでもらう視点は間違っていないと思います。

清水祐孝 氏

清水祐孝 氏の紹介

株式会社鎌倉新書 代表取締役社長
昭和38年1月24日生まれ、慶應義塾大学卒業

平成元年に父親の経営する株式会社鎌倉新書に入社。
当時の鎌倉新書は、仏教書を中心とした出版を行っていた。
その後、仏教書から葬儀・仏壇仏具・墓地墓石等の供養に関連する産業に向けた出版物を多数刊行する傍ら、消費者向けのセミナー、寺院の運営に関する講演、供養業界向けの企業セミナー等を積極的に行う。
また同業界向けのコンサルティングも手がける。
1990年代の後半からは、インターネットの成長性に着目し、「いい葬儀」「いい仏壇」「いいお墓」等のポータルサイトの運営を開始した。
その後は高齢者が中心であるという消費者ニーズを受け、サポートデスクを設置するなどし、現在では供養に関連するさまざまなサービスを消費者に向けて提供している。

山本:

今日はありがとうございます。
今日は、供養業界を代表して清水社長のお話を伺えたらと思います。
わたしどもの墓石業界は、他の業界と比べればまだまだかもしれませんが、大変な時代に突入していると思っています。市場のパイが増えずに、業界内でパイを奪い合っている状況です。

 

清水氏:

市場がないというよりは、昔のやり方が通じなくなったということでしょう。ほとんどの人がいまだに昔のやり方でやっていらっしゃいます。つまり、商品の値段を下げたらお客様が増えると思っていて、そうでない人は、値段を下げてもお客様は増えないということを前提にしてビジネスを考えられていると思います。隣のお店が商品の値段を下げれば、一時的にお客様が得られても、その隣もまた同じように値下げをしていて、結局は差し引きすれば一緒ということがよくあります。

 

山本:

弊社でも値引きは一切やめました。現在は値引きがない状態です。

 

清水氏:

少額の値引きをするのはいいと思いますが、値引きをゼロにするとそれはそれで難しいところもあるのではないかと思います。値引きはしないけれど、その代わりに旅行券をいくらかサービスしたりするということはよく聞きます。原則は値引きをしてお客様を増やすのではなく、その代わりに別の価値を提供するということは、それはすばらしいことだと思います。

 

山本:

葬儀業界、墓石業界、またお寺さんを含めて、この業界のどこに大きな問題があるとお考えでしょうか。

 

清水氏:

昔を知っている人にとっては、市場が急激に縮小していると感じられているのでしょうね。もう少し広い視野でみると、本来のあるべき姿になりつつあると思います。昔のように第一次産業が中心だと、転居せずに同じ場所に住み続けることが多かったのですが、今のように第三次産業のサービス業が中心だと、日本各地を転々と移動することが多くなります。そうすると親戚が近くに住んでいる状況は難しい時代になっています。葬式をするにしても、お墓を建てるにしても、大きく立派なものは必要がなくなる傾向があり、当然に起こることが起こっているのだと思います。それに対して昔に戻れというのは無意味だと思います。本質の価値を掘り下げて、それを見つけることができれば、わざわざ商品の値段を下げることはないと思います。葬儀でいえば、家族葬だから安くしなければならないとはならないです。墓石業界でも、それなりに良かったという価値をお客様に伝えてあげ、それが続いてきた意義があるので、今日的意義をきちんと伝えることができれば、値段を下げなければならないということにはならないと思います。こういうしきたりをしなければならないというのではなく、お墓を建てることによって、残された人々がもっと仲良くなるというのが大きな価値だと思います。山本社長が取り組まれている、残された人々に喜んでもらう視点は間違っていないと思います。

 

山本:

清水社長は、紙媒体の書籍業界からネット業界へ移行され、先見の目をお持ちだと思っています。

 

清水氏:

いつまでもネット業界に可能性があるわけではなく、一つの事業の消費期限が20年から30年と短く、あっという間に期限が過ぎてしまう現代なので、次から次へ新しいことをやっていかなければならないと思っています。特にネットの技術は日進月歩で、今わが社でやっている編集作業を、他の大手ネット関連の会社がやり始めてもおかしくありません。

 

山本:

今、集客の流れのなかでネットが大きな割合を占めていますが、石材店のなかにはホームページを持っていないところがかなりあります。

 

清水氏:

今、ホームページを持っていない会社は確信犯だと思います。よほど何か強い意思を持っていないとホームページなしでは難しいですね。そうは言っても、ただホームページがあればいいというよりは、それに何の役割を持たせるかをしっかり考えることが重要です。

 

山本:

葬儀業界では家族葬、仏壇業界では現代仏壇、墓石業界ではガーデニングが出てきて、今までの流れが大きく変わった気がします。ただ、それらは当初から値段が安くはなかったと思います。それらに似た模造品が出てきて、地方に行くとこれでも商品が売れるのかと驚くことがあります。これから業界としては厳しくなるのでしょうね。

 

清水氏:

そういう流れが、大都市部から地方に伝播していくと思います。業界としては厳しくなっていくでしょうが、急に厳しくなるわけではないと思います。今までは競合も少なく、魅力のない市場ならば新規参入もなくて、生き延びられてきたのでしょう。今すぐにはゼロにはならないので、規模は徐々に縮小せざるを得ないでしょうね。企業の9割程度はマイナス成長で、売り上げを増やしているのは1割程度の企業ではないでしょうか。そのような状況で、人と違うやり方をしている企業や、上場企業や互助会のような規模の大きい企業は存続していけるでしょうが、それ以外は厳しくなるでしょうね。

 

山本:

これから20年から30年後というのは、お葬式をして、仏壇を買って、お墓を建ててという自然な流れは変わっていくのでしょうか。

 

清水氏:

確かにいろいろな形がありますが、全てが消滅することは考えにくいですね。人が亡くなってお葬式をしないかというと、おそらくお葬式はするでしょう。ただ、消費者にとってはそれに支払うお金、企業にとっては一件あたりのそれに対する収益の金額は徐々に少なくなっていく流れは変わらないと思います。葬儀業界も、多少は減っていると思われますが、亡くなる人は年々増えています。20年後にはそれなりに減少し、さらに厳しくなるかもしれません。

 

山本:

婚礼業界の方々とお話しをすると、墓石業界はまだいいと言われます。婚礼家具の売り上げは全盛期の約1/10で、あざやかなリボンをつけた婚礼家具を運搬する車と最近は遭遇しなくなりました。昔、その車が対向車にお金を一台ずつに渡していたという、幸せな昭和の時代がなくなっています。

 

清水氏:

そうですね。名古屋の方とお話をしたとき、婚礼家具を置くための部屋があったと伺いました。昔から続いてきた習慣は、形を変え、縮小し、形骸化する傾向が、いろいろな業界で見られています。特に葬儀業界や墓石業界だけに限られたことではありません。ただ、これらの業界の市場は割と大きく、高齢者向けサービス・商品なので、まだまだ救いはあると思います。
今、神棚や仏壇がホームセンターで販売されています。まだ、仏壇を購入する場合はお寺さんに相談されることが多いのですが、今は多くの人がお寺とのつながりがなくなってきています。そうすると、ホームセンターでこの宗派のセットはこれでこう並べて下さいという感じが増えていくのではないかと思います。


お墓の場合は、幸いに外に建てて多くの人が手を合わせに来てくれています。また孫が50年後にお墓参りに来てくれるというイメージができ、お墓にはそれぞれ違う名前を彫るのでチャンスはあると思います。関東ではお墓でなく、自動搬送式の納骨堂が増えていますが、関西ではどうなのでしょうか。

 

山本:

関西にも自動搬送式の納骨堂がいくつかあります。ただ機械ですからいずれ故障したり壊れたりすると思います。また、ボタンを押したら違う家のご遺骨が出てくる可能性が全くないとも言えないと思います。

 

清水氏:

自動搬送式の機械のメンテナンスは必要でしょうね。建物自体は、かなり持つでしょうけど。
お墓を販売するのに、3年くらいの期限付きにしたらというお寺さんがいらっしゃいました。お墓を建てるときには永遠にお墓参りにいらっしゃるつもりで購入されるのですが、実際は1年くらいしかお参りに来られないとおっしゃっていました。ただ、購入段階で3年の期限としたら誰も購入されないのではないかというお話をしたことがあります。

 

山本:

それだけ来てもらえないということは、魅力のあるものを造られていらっしゃらないかもしれませんね。
大阪のあるお寺で、動物の供養を始めたら当初1年間に約1,000人来られたようです。市が協力して、ペットの火葬ができる施設も造られ、翌年はもっと売れると思ったら、その翌年も約1,000件、また次の年も約1,000件だったそうです。その理由は、ペット好きな人はペットが亡くなってもまたペットを飼うのでということらしいです。ただ、無許可でいろいろなところに動物墓地ができるのは問題ですけどね。
今後、墓石業界はどうなっていくと思われますか。

 

清水氏:

結局は、家墓制度が存続できないので、縮小していくしかないと思います。家を代々継ぐことが前提の時代に作られた仕組みなので、現在、親戚が物理的に離れて暮らしている状況のなかで、家がお墓を継いで行くのは難しくなっています。お墓の意義が薄れているのではなく、仕組み自体が制度疲労をおこしています。そういうなかで、関係する事業所の数も減ってくるだろうし、誰もお骨を捨てたいと思っている人はいないはずです。遺骨を散骨したら、手を合わせることが難しくなると思っている人もいますし、残されている人はどこかで手を合わしたいと思っています。それを産業として見た場合、縮小せざるを得ないのは確かですが、今日的意義を伝えられないところが淘汰され、伝えられるところが残っていくという傾向になるのではないでしょうか。

 

山本:

お忙しいところ、今日はありがとうございました。

 

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