VOL.17
橋本和典氏 × 山本一郎
わたしの撮影した写真によって、撮影された方が自分自身と出会ってほしいと思っています。
DIGEST
ご家族の思いやいろいろなドラマを形にされていて、お客様に寄り添って1つのデザインにされているのには、非常に感銘を受けました。
対談相手のご紹介
橋本和典
kazunori hashimoto
1963年東京都生まれ。大学で電子工学を専攻し、卒業後は写真関連メーカーに勤務。在職中はモルディブ共和国、ガーナにて写真科学講師として活躍。1998年にフリーランスで撮影活動を開始。石井竜也プロデュース映像への作品提供や、愛・地球博への演出用映像も提供。その他、財務省や金融庁の官僚、長官採用パンフレットの撮影や、2007年からは日本の家族、海外の家族、世界のこども等をテーマにした作品をアースデイ東京にて毎年4月に写真展にて発表している。
対談の様子
山本:
橋本さんが、カメラマンになられたきっかけを教えていただけたらと思います。
橋本氏:
まず、わたしがカメラマンになった動機は、写真を撮影している時が一番楽しくて、その時間が土日の会社の休みの時だけでなく、常にそうありたいと思うようになっていました。それなら、写真を撮影することを仕事にできたらいいなと考えるようになりました。
また、わたしは元々サラリーマンをしていたのですが、カメラマンに転身したきっかけは、青年海外協力隊でモルジブでの写真撮影の指導があることを友人から教えてもらったことです。さっそくそれに応募して、海外で写真撮影を指導させていただく機会をいただきました。派遣された2年間で、自分がどれくらいの写真を撮れるのか、また自分の力が通用するのかということを考えながら過ごし、何とか仕事としてやっていけるのではないかと思うようになりました。
山本:
モルジブで生活をされて、良かったことはありましたか。
橋本氏:
日本ではあまり経験できない、言葉のコミュニケーションができないところでいかにコミュニケーションをとるかという経験をさせていただきました。実際には、英語やドイツ語でコミュニケーションを多少とっていたのですが、現地の子供だと英語はわからないですし、そういう状況でコミュニケーションをとり、気持ちを伝えるためには言葉以外にも何かあることがわかりました。例えば、強く思いを持つとかそういったことを身につけることができたと思います。
山本:
そのことがきっかけで、カメラマンとしての人生を歩み始められたのですね。今までいろいろな方と出会って写真を撮影されていらっしゃいますが、特に心がけていらっしゃったことは何かありますか。
橋本氏:
わたしは写真の撮影を始めると、相手が有名人でも、一般の方でも、時には仕事としてでも、仕事でなくても、何も関係がなくなります。写真を撮っている時は、何も考えずに夢中になっています。今日、こちらのハピネスパーク牧野霊園で撮影させていただいたときもそうなのですが、自分が工夫することで絵がきれいになり、写っている人がいい笑顔になっていくことが楽しくて、自分が何のためにやっているかということは時に忘れてしまっていました。
山本:
今まで訪問された海外で、楽しかった経験はありますか。
橋本氏:
みんなが楽しそうにしていて、そこにいるだけで楽しいと思ったのはキューバに行ったときのことですね。暮らしは大変なのかもしれないのですが、ここまで楽しむことができることは素敵だと思いました。今は変わっているかもしれませんが、貧富の格差があまりないからということもあるのかもしれませんね。キューバは、農業の有機栽培に取り組まれていて、いま有機大国ですごいですね。
山本:
現在の活動を踏まえて、これからの活動をどのようにしていこうと考えていらっしゃいますか。
橋本氏:
わたしの撮影した写真によって、撮影された方が自分自身と出会ってほしいと思っています。人からどういう風に見られているかということは、なかなかわからないと思うので、自分に自信がなく、写真写りが気になって少しでもよく見せたいので、時には鏡の前で笑顔をつくる練習をされる方がなかにはいらっしゃいます。友達と普通に話をしている時に、横からさりげなく写真を撮ってあげると、とてもいい表情をされた自分に気付くことができ、わたしは皆さんとそのいい表情を結びつけてあげたいと常に考えています。そして、何もしないでも最初から素敵な人だということに気付いてほしいと思っています。何か事業をやっていくというよりは、将来的な方向性として、できるだけ多くの人と出会い、これからも多くシャッターを押し続けていきたいと思います。
山本:
わたしが初めて橋本さんにお会いしたのが2年前で、その時に写真の嫌いな人が、写真に撮られることを好きになって欲しいとおっしゃっていたのを思い出しました。
橋本氏:
基本的にはそうですね。写真に写っている自分を好きになれないことが多いですね。でも、よくよく考えてみると、人にはいろいろな瞬間があって、その人のいいところを撮られておらず、本人が意識しすぎていて、自分らしくない自分が写っていることがあるので、ありのままでいるところが撮影できたらいいなと思っています。
山本:
今まで人を撮影することが好きということで、お墓の業界の写真はあまり撮られていないと思うのですが、今日実際にお墓を撮影していただいたのですがいかがですか。
橋本氏:
そうですね。今回の縁でお墓の写真を初めて撮影させていただきました。お墓も、神社、仏閣、お寺もそうだと思うのですが、思いが集まってくる場所なので雰囲気がぴんとしていて好きですね。とてもピュアな感じを受けています。
山本:
橋本さんにわたしどものお客様の写真を撮影していただくと、納骨が終わったらみなさん、ニコニコされ、不思議なマジックにかかったような感じがします。写真は思いを残すもので、大切なものだと思っています。先ほども弊社の霊園で、お墓の引渡しの様子を橋本さんに撮影していただいた写真を見させていただくと、1人ずつの顔の雰囲気が良かったりして、家族の幸せそうな雰囲気が出ていました。
橋本氏:
カメラの前に出るというのは、日本人にはでしゃばりすぎると言われがちなのかもしれないです。最初はみなさん遠慮されるのですが、そこは手を引っ張って写真を1枚撮ると、まず女性の方が乗っていらっしゃいます。すると写真を撮られるなら、きちんと写りたいと思うようになります。旦那さんも最初は嫌がられていても、そのうちに引っ張り込まれて行かれます。うまく雰囲気を作っていくという経験を今までいろいろしていますので、大体こういう順番で進めていくと、最後までいい写真を撮影できるかなと思っています。今日も霊園にいらっしゃるお客様の写真を撮らせていただいて、とても楽しかったです。写真を撮影していて、みなさんニコニコしていただけるのが一番楽しいですし、それが自分のやるべきことだと思っています。あくまでも、写真とカメラはツールであり、きっかけでしかないと考えています。
山本:
わたしどもも変わった霊園とよく言われるのですが、そういう霊園を造りながら、今日撮影していただいた撮影モデルを、日本人から外国の方に変えてみたのですが、合わせてホームページなどの写真も変えていこうと考えています。今日撮影していただいていかがだったでしょうか。
橋本氏:
日本人と比べて笑顔の表情が大きく、絵柄として華やかになるということはあるのですが、今日撮影させていただいたモデルの2人とも人柄が素晴しかったです。空気の澄んだ感じのところを撮影することができ、写真で言うと抜けがよく、透明感があるという雰囲気で撮影ができ、わたしもとても楽しかったです。
山本:
弊社のホームページや名刺などの全ての写真を、橋本さんに撮っていただいた写真を使用させていただいています。そうすると業者さんから、その写真を見られていいですねといわれることが多くなっています。橋本さんに撮っていただいたお墓の写真も、写真集にしていきたいと思います。
橋本氏:
すばらしいですね。是非よろしくお願いします。ご家族の思いやいろいろなドラマを形にされていて、お客様に寄り添って1つのデザインにされているのには、非常に感銘を受けました。
山本:
今日お墓の引き渡しの時に撮っていただいた写真は、すごく家族の幸せな感じが漂っていて、早速その写真を採用させていただきたいと思います。今日はお忙しいところありがとうございました。