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月に思いを馳せて

 

こんにちは。千年オリーブの森(京阪奈墓地公園内)の所谷です。

暑さの残る日々のなかにも、少しずつ秋の気配を感じるようになりました。

 

秋といえば、お月見を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。昔から人々は夜空を見上げ、月の姿にさまざまな思いを重ねてきました。

今回ご紹介するのは、明治時代に活躍した浮世絵師・月岡芳年の『月百姿(つきひゃくし)』です。

いろんな月の姿

  『月百姿』は、月を題材に描かれた100点からなる浮世絵の連作です。日本や中国の歴史、物語、和歌、能や歌舞伎など、幅広い題材が取り上げられています。

  描かれているのは、静かに月を眺める人、月明かりの下を歩く人、戦いへ向かう人など、時代も境遇も異なる人々です。同じ月であっても、見る人の置かれた状況によって、穏やかにも、寂しげにも、どこか恐ろしくも見えてきます。

また、作品のなかには、月そのものがはっきりと描かれていないものもあります。それでも、空を見上げる人物の視線や、辺りを照らす光から、その先にある月の存在を感じることができます。

 

『月百姿』の中でも、秋らしい風景が印象的なのが「むさしのゝ月」と「吼噦(こんかい)」です。

 






「むさしのゝ月」には、大きな満月に照らされたすすき野と、
その中にひっそりと佇む狐が描かれています。
淡くぼかされたすすきがどこまでも続くように見え、静かで幻想的な
秋の夜を感じさせる作品です。





《月岡 芳年 「むさしのゝ月」》





一方、「吼噦」では、僧侶のような装束をまとった狐が、
三日月に向かって鳴く姿が描かれています。
風に揺れるすすきと細い月が、秋の夜の寂しさと、どこか不思議で妖しい雰囲気を
生み出しています。




《月岡 芳年 「吼噦」》


どちらも月とすすきと狐を題材にしながら、一方は静かに広がる秋の夜、もう一方は物語の始まりを思わせる秋の夜を
表現しています。

最後に

月の姿は一つでも、そこに重ねられる物語や思いは一つではありません。

芳年は『月百姿』を通して、月そのものではなく、月を見つめる人々の心を描こうとしたのかもしれません。

私たちが今見上げている月も、遠い昔の人々が眺めていた月と同じです。そして同じ夜空の下でも、それぞれが思い浮かべる人や記憶は異なります。

秋の夜、時には足を止め、静かに月を眺めてみてはいかがでしょうか。

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この記事を書いた人

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