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日本の火葬の歴史と喉仏に込められた意味

こんにちは。樹木葬霊園・千年オリーブの森(京阪奈墓地公園内)の中谷です。

一気に肌寒くなってきましたね。

千年オリーブの森の入口のバラアーチのバラを剪定していただきました!

バラも冬支度が完了いたしました!

本日は「火葬の文化」と「喉仏」についてお話させていただきます。

火葬の歴史

日本では、亡くなった方を火葬し、お骨をお墓や納骨堂に納める形がほぼ「当たり前」になっています。実際に、日本の火葬率は世界でも突出して高く、近年では99%以上が火葬と言われています。

しかし、この火葬文化は近代になって突然生まれたわけではありません。

日本で火葬が本格的に広がり始めたのは奈良時代〜平安時代頃で、僧侶や貴族を中心に、仏教の教えに基づく「火による浄化」として受け入れられていきました。

やがて江戸時代以降になると庶民にも広がり、明治期には一時期「火葬禁止令」が出されたものの短期間で撤回され、その後は衛生面・土地事情などもあって、現在のように火葬が主流となっていきました。

喉仏(のどぼとけ)が重視される理由

火葬後に行われる「骨上げ(こつあげ)」では、遺族が箸でお骨を拾い、骨壺に納めていきます。その中で特に大切に扱われるのが、喉仏(のどぼとけ)と呼ばれるお骨です。

喉仏とは、実際には背骨の第二頸椎にあたる骨で、その形が合掌して座っている小さな仏様のように見えることから「喉仏」と呼ばれるようになりました。「喉仏がきれいに残ると、極楽浄土へ行ける」といった言い伝えが語られる地域もあり、古くから故人の魂を象徴する特別なお骨として尊ばれてきました。

本山納骨と「本骨・胴骨」という考え方

喉仏が特に重視される背景には、宗派ごとの納骨の習慣も関わっています。

浄土真宗などでは、火葬後のお骨を喉仏のお骨(本骨)と、それ以外のお骨(胴骨)に分ける風習があります。喉仏を納めた小さな骨壺を「本骨」として本山(西本願寺・東本願寺など)へ納め、胴骨はご自宅のお墓へ納骨する、という形です。これを「本山納骨」と呼び、「亡くなってからも宗祖・親鸞聖人のおそばで供養されたい」という信仰心がそこに込められています。

このため、火葬場では最初から大きさの違う骨壺を2つ用意し、1〜2寸ほどの小さな骨壺に喉仏だけを、本山納骨用として納める、そして3〜5寸ほどの骨壺に胴骨を納めてお墓へ埋葬する、という形が今も一部地域・宗派で続いています。

木の中の仏と、喉仏という“現れる仏”

仏像彫刻の世界には、「木の中にはもともと仏様がいて、自分はその姿を掘り起こしているだけだ」という言葉があります。仏師が「木のなかに仏さまが埋まっていて、それを彫り出していく感覚」だと語るインタビューもあり、木そのものに“仏の姿”を見出す感性が息づいています。

喉仏のお骨も、どこかそれに似たところがあります。生きている間は見えない「人の中の仏さま」が、火葬というプロセスを通して喉仏の形になって現れてくる。だからこそ、「仏さまが姿を現されたもの」として丁寧に扱われ、別の骨壺(本骨)に納めて本山へお送りしたり、小さな骨壺に入れて大切に手元で供養したりする、そうした発想は、日本人の「目に見えないものに形を与えて大切にする」感覚と深くつながっているように思えます。

火葬は“終わり”ではなく、“祈りのはじまり”

火葬というと、「肉体がなくなること=終わり」と感じてしまいがちですが、日本の火葬文化を見ていくと、むしろ逆であることが見えてきます。

火で清め、骨となった姿に手を合わせることで、遺された人の祈りや想いが、初めて本格的に動き出す。喉仏を大切に扱う習慣や、本骨と胴骨を分けて納める風習、ミニ骨壺で手元に置いて供養するという新しいスタイルなどは、どれも「形は変わっても、故人を大切に思う気持ちは続いている」という証でもあります。

火葬は、決して「終わりの儀式」だけではありません。
骨に残るかたちを通して、これからも故人とつながっていくための、“祈りのはじまり”なのかもしれません。

この記事を書いた人

営業部・PR担当

中谷 聡

Sato Nakatani

資格

お墓ディレクター2級・剣道二段・ユニバーサルマナー検定2級・海洋散骨アドバイザー

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