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日本画の膠について

こんにちは、ハピネスパークのスタッフです。普段はお墓や樹木葬のご案内・お手入れをしていますが、実は私の趣味の一つが「日本画」を描くことです。日本画というと敷居が高く感じられるかもしれませんが、使用する道具や素材には、自然の恵みを活かした深い知恵が詰まっています。中でも、日本画の表現に欠かせないのが「膠(にかわ)」という天然の接着剤です。今回は、知られざる日本画膠の魅力と、そこから学ぶ論理的で温かい手入れの心について分かりやすく解説します。


日本画において「膠(にかわ)」が不可欠な3つの理由

日本画は、西洋の油絵とは異なり、チューブから出した絵具をそのまま塗るわけではありません。鉱物を砕いた「岩絵具」を画面に定着させるために、膠が絶対に必要な理由を3つの観点から解説します。

1. 天然の鉱物(岩絵具)を画面に固着させる唯一の命綱だから

日本画で使われる岩絵具は、美しく輝く天然石を細かく砕いた「砂」のようなものです。これ自体には粘り気が全くないため、そのままでは絵の上に留まることができません。膠という天然の接着成分を混ぜ合わせることで初めて、画面に強固な絵画層を形成することができるのです。

2. 経年劣化を前提とし、未来の「修復」に寄り添う素材だから

天然のタンパク質である膠は、湿気や乾燥の影響を受けやすく、長い年月の中で当然「経年劣化」を起こします。しかし、合成樹脂(ボンドなど)とは異なり、劣化しても水分と適度な熱を加えることで再び溶ける(可逆性)という素晴らしい特性を持っています。日本の国宝が何百年も残っているのは、膠が劣化しないからではなく、後世の職人が古い膠を洗い流し、新しく塗り直す「修復」ができるからなのです。

3. 岩絵具の美しさを引き立てる、自然な艶と質感

膠は完全な無色透明ではなく、淡い琥珀色や褐色を帯びています。この自然な色合いと質感が、岩絵具が持つ本来の輝きや光の乱反射と馴染み、日本画特有の奥深いマットな表情を生み出します。自然の素材の特性をそのまま受け入れ、活かすという論理的な土台となっています。


日本画膠の扱いにおけるよくある誤解と注意点

膠は非常にデリケートな素材であり、「一度塗れば永遠に持つ」という魔法のアイテムではありません。以下のポイントに十分注意する必要があります。

  • 永久不変の素材という思い込み: 前述の通り、膠は経年劣化します。風通しの悪い場所に置けばカビが生え、乾燥しすぎればひび割れて剥落します。これはお墓も同じで、「建てて終わり」ではなく、その時々の環境に合わせた定期的なお手入れが不可欠です。
  • 作り置きして長期間放置する: 膠液は天然のタンパク質であるため、水分を含んだ状態では非常に腐敗しやすい性質を持っています。※特に夏場は数日で傷んでしまうため、その日に使う分だけを丁寧に作り、余ったものは冷蔵庫で保管するのが基本です。ハピネスパークの霊園管理もこれと同様に、日々の細やかなメンテナンスの積み重ねで清らかな空間を維持しています。
  • 熱湯で一気に溶かそうとする: 膠を早く溶かそうとしてグラグラに沸騰した熱湯に入れるのは厳禁です。タンパク質が熱で破壊され、接着力が大幅に低下してしまいます。お湯の基本は「ぬるま湯でじっくり湯煎」することです。

失敗しないための具体的な膠の扱い方のヒント

実際に膠を使って絵具を調合したり、手仕事を丁寧に進めたりする際は、無理のない範囲で以下のステップを意識してみてください。

  • まずは丁寧な「三千本膠」の細断から: 棒状の膠(三千本膠など)を使う場合、そのままでは溶けにくいため、まずは手や道具で細かくパキパキと折って、水に浸して十分にふやかす(膨潤させる)ことから始めます。
  • ゆっくりと熱を加え、泡立てずに混ぜる: ふやけた膠を湯煎にかけ、ゆっくりと混ぜながら溶かします。このとき、気泡が入ると絵具を塗った際に色ムラやピンホールの原因になるため、優しく撫でるように扱うのがポイントです。

まとめ:劣化を受け入れ、人の手で未来へつなぐということ

日本画の膠について学ぶと、そのデリケートな性質や、経年劣化するという事実に驚かれるかもしれません。しかし、「形あるものはいつか変化する」という自然の摂理を受け入れた上で、正しい知識と手入れによって、何百年も美しい姿を保ち続ける(修復していく)ことができます。これは、私たちが日々向き合っているお墓や樹木葬のお手入れとも全く同じです。お墓を美しく保つことも、日本画を描き・残すことも、どちらも「大切なものを、人の手を介して未来へつなぎたい」という優しいお気持ちから始まるものです。正しい手入れを通じて、心豊かな時間を過ごし、大切な想いを次の世代へつなぐ素晴らしい「未来への贈り物」にしていきましょう。もし、日々の管理でお困りのことがあれば、いつでも私たち霊園スタッフにお気軽にご相談くださいね。

この記事を書いた人

株式会社西鶴

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