タージマハルが白い理由は、その主な建材である白い大理石によるものです。特にラジャスターン州のマクラーナ採石場から採取された高品質の白い大理石が原材料として使用されています。この大理石は純白で美しく、光を反射する性質があるため、時間帯や天候によって色合いが変化し、様々な表情を見せます。さらに、この純白の大理石の建物全体の優雅さと荘厳さを際立たせるためのものであり、ムムターズ・マハルへの深い愛と尊敬の象徴でもあります。

庭園のような敷地

タージ・マハルの庭園は、イスラム建築とペルシャ庭園の伝統に基づいて整備されました。整備された理由はいくつか挙げられますが、その中でも主な理由とされているのは、天国を再現しているためと言われています。

イスラム教の教義では、庭園は天国（楽園）を象徴されており、タージマハルの庭園もまた、ムムターズ・マハルが安らかに眠る場所として天国を模して設計されたと言われています。

インドのお墓は珍しい？

事実、インドではお墓はほとんど存在しないと言われています。

インドではお墓が少ない理由は、主に宗教的な慣習と文化的な違いにあります。インドの主要な宗教であるヒンドゥー教と仏教においては、遺体の処理方法が埋葬ではなく火葬であることが多いためです。

ヒンドゥー教では火葬し灰となった遺体を聖なる川であるガンジス川に流すことが良いとされているためお墓を建てることが習慣としてありません。

またインド仏教でも火葬後灰となった遺体をストゥーパ（仏塔）へ納められるため、個人のお墓が建てられることはほとんどないのが現実です。

その他にも宗教的な理由や土地の確保の問題に関する理由もありますが、お墓が建てられない主な理由は以上となります。

タージ・マハルの建造者

タージ・マハルを建造したのは、ムガル帝国の第五代皇帝シャー・ジャハーンです。シャー・ジャハーンは愛妻ムムターズ・マハルのためタージマハルという真っ白な霊廟を建てました。ムムターズ・マハルは1631年に亡くなり、その深い悲しみからシャー・ジャハーンは彼女のためにタージマハルの建設を決意しました。

シャー・ジャハーン

シャー・ジャハーン（1592年 – 1666年）は、ムガル帝国の第五代皇帝であり、在位期間は1628年から1658年までです。彼の本名はシャハブッディーン・ムハンマド・シャー・ジャハーンで、「世界の王」を意味します。

シャー・ジャハーンの治世は、ムガル建築の黄金時代とされています。

シャー・ジャハーンの治世において、ムガル帝国はその領土を最大限に広げ、文化と経済の繁栄を見せました。しかしどの歴史の最盛期の王の最後はむなしく、シャー・ジャハーンの晩年は波乱に満ちており、息子のアウラングゼーブによって退位させられ、アーグラ城に幽閉され、1666年に亡くなりました。

ムムターズ・マハル

ムムターズ・マハル（1593年 – 1631年）は、ムガル帝国の第五代皇帝シャー・ジャハーンの愛妻で、その美しさと賢さで知られる女性です。ムムターズ・マハルの本名はアルジュマンド・バーヌー・ベーグムで、ムムターズ・マハルという名は「宮殿の選ばれし者」を意味します。

黒いタージ・マハル

シャー・ジャハーンはヤムナ川の対岸に、自分のための黒い大理石でできた霊廟を建設し、ムムターズ・マハルが眠る白いタージマハルと対になるようにすることを計画していました。その計画ではタージ・マハルと同様の設計で、ヤムナ川を挟んで対称に配置される予定で、両者は橋でつながれる予定でした。しかしシャー・ジャハーンの息子アウラングゼーブが、父の浪費を止めるためにシャー・ジャハーンを幽閉し、黒いタージ・マハルの建設を中止させたと言われています。