この業界に入って１６年になる。１６年前からもう１６年前、そう３２年前と、１６年前の間の墓石業界は、余り変わっていない。しかしこの１６年間は、大きく様変わりした。

　まず和墓しか売れなかったことから、洋墓がこれだけ主流になるなど考えられないことだ。そしてこれだけ中国が主流になることも考えられなかった。

　そして何よりも、親戚のおじちゃん、おばちゃんが出てこなくなった。以前は、契約が決まりそうになると、必ず出現し、ああでも無いこうでも無いと、小言を言われたものだった。

　小言で済めば良いのだが、和歌山在住の親戚であれば、閏年にお墓を建てるとは何事だ！烈火の如くお怒りになられていた事を思い出す。和歌山では、閏年にはお墓を建てない都市伝説が今も続いているからだ。

　そんな親戚が出てくることが無くなった。確実に核家族化が進み、親戚に相談する人達が減り、自分達の事は自分でするという時代が確立されたのかもしれない。

　自分の周りでは、小言を言う親戚のおじちゃん、おばちゃんが貴重に存在だったのだが、今の世ではウザイ存在なのかもしれない。コミュニケーションが減っている現代社会なのだ。