公開日:2023年02月24日
更新日:2023年02月25日
お墓の移動、墓じまいは必要?
なぜお墓じまいが増えている?
「終活」のひとつとして、今あるお墓はこのままでいいのか、と行く末を考える方が増えてきています。
そもそもお墓は
よくイメージする一般的なお墓は、基本的にはその家の長男が継いでいくものという慣習があります。
これは戦前までの家制度の価値観によるもので、現在では家制度はありませんが、その名残は残っています。
また、家族がその地域、地元に代々住み続けるのが前提とされ、大きなお墓が建てられていました。
ですが、現代では都会へ若い世代の人が多く出て行ったり、少子高齢化により、お墓を取り巻く状況も変わってきています。
墓じまいと、お墓の引っ越しとは?
・「墓じまい」は現在あるお墓を解体し、更地にすることをいいます。
また、昔からある村や地域のお墓のようなあいまいな場所ならともかく、市営の墓地やお寺の墓地である場合には、
お墓の土地を買っているのはなく、半永久的にそこを使っていいですよ、という権利(永代使用権)を買っている状態なので、
お墓の土地を墓地の管理者へ返還するという形になります。
お墓に眠っているお骨は現地の合祀墓などで供養してもらう、という人が多いようです。
・「お墓の引っ越し」の場合には、上記のように現在あるお墓を解体し、更地にしたら、お骨を引き取り、現在住んでいる近くで新たにお墓を建て、そこへ納骨する、という流れになります。
お墓を現在住んでいるところへ移動させるイメージです。
お墓の引っ越しは「改葬(かいそう)」と呼ばれます。
お墓の引っ越しを考えている人の声
実際千年オリーブの森でもお墓の引っ越し(改葬)のご相談がたくさんあります。
改葬を考えられる背景にはこういったお声がよく聞かれます。
・田舎のお墓は遠くてなかなか行けない。お盆のお参りは暑くて、雑草抜きしなきゃいけなくて本当に大変。
・お墓が遠方だと自分たちが入るのも大変。子供たちもお参りに行けない。
・子供が遠くに住んでいて墓守(お墓を見ていく人、管理する人のこと)ができそうにない。
・今のお墓は管理費を払っているけど、ちゃんと管理されてない。
・子供がいない。自分で途絶える。自分が死んだらお墓は無縁になってしまう。
・子供が娘しかいない。嫁いだから苗字も違うし、見ていってもらえない。
・大きいお墓は望まない。
・跡継ぎはいるけれど、子供に管理費や寺との付き合いを続けさせたくない。負担をかけさせたくない。
こういう不安があり、墓じまいや改葬を考えられる方が多くいらっしゃいます。
墓じまいはしなきゃいけないものなの?
上記のような不安を感じられている方は年々増えております。
しかし、費用や手間、時間がかかるものでもあるので、墓じまい自体も負担になる、という方もいます。
〇お墓を放置しておくとどうなる?
そのままにしておくと、墓地によっては「無縁墓(むえんぼ・むえんばか)」という扱いになり、勝手にお墓が解体され、お骨は合祀墓というところに埋蔵されることがあります。
この合祀(ごうし)はお骨が見ず知らずの人と一緒にされます。
もし取り出したいとなっても、一緒になってしまっているため、取り出すことは出来ません。
また、そのままにしておくと、子供たちの代になったときに現地の状況が分からず、非常に苦労した、という声もあります。
負担をかけさせたくないと感じているのであれば、ご自身が動けるうちに行動するのが一番です。
さらに改葬を考えられる方は従来の一般的なお墓は大きい、見ていけないと負担を感じているため、お墓の引っ越しをする際にも、従来とは異なる樹木葬や永代供養墓を選ぶ方が多いです。
墓じまいの費用は?
・新しい場所の購入金額
移動するお骨を納める場所にかかる金額です。
合祀の永代供養墓であれば数万円からあります。
樹木葬の場合でも、墓石の大きさや、条件によって変わります。20万~80万程度が相場です。
一般墓の場合は100万~です。お墓の広さや、使う石で変わります。
・解体費用
墓じまいの際には墓石を解体をするので、解体の工事費用が掛かります。
お墓の大きさや、立地によって変わります。
お墓が大きいほど金額が上がります。
お墓の近くまで車両が入れない場合、手作業で解体するので、費用が上がります。
また、お墓の下にしいている「巻石」というところまで撤去するかどうかでも変わります。
大体20万~100万程度です。
・お布施
お骨を取り出す前に、お経をあげてもらうのが一般的です。相場は1~3万です。
また、取り出す際にお経をあげてもらった場合、お骨を納める際にもお経をあげてもらうのが良いです。そちらも相場は1~3万です。
また、墓じまいに伴って檀家の寺を離檀したい場合には、これまでのお礼として数万円を包む方もいらっしゃいます。
・手数料
改葬の申請をする際に役場で手数料がかかることがあります。300円程度です。
無料の自治体もあります。
また、郵送でやり取りする際には郵送の費用も掛かります。
お墓じまいの実際の流れは?
実際お墓の引っ越しをする場合にはどういった点に気を付けながらしたら良いのでしょうか?
実際行う際には事前に現在お墓があるところの管理者等に話を通しておくのがスムーズです。
また、現在のお墓にお参りに行っている親族が他にいるならば、その人たちへも、なぜ墓じまいや引っ越しをしたいのか、どういうことが必要で、移動させたお骨はどうなるのかなどを話し、納得を得る必要があります。
移動させることに対して、先祖に対して失礼だ、祟りがあるという考え方もあるようですが、お参りにいくことができなくなりお墓が荒れてしまう事の方が、先祖を供養するという目的には適わなくなってしまいます。将来性を見越した話し合いが必要です。
無断で行うと揉め事の原因になることもあります。
引っ越し先を決める
改葬をする際には、家の引っ越しと同じで、まずお骨の移動先を決めます。
周辺の墓地などを見学し、実際に自身の目で見て、ここ、と決めます。
〇霊園を決める際の注意点は?
墓地には、公営の墓地と、寺など宗教法人が土地を持っている民営の霊園とあります。
寺の敷地内にあるものもあれば、寺の本堂とは別の場所に土地があるところもあります。
ご自身の状況と照らしあわせて、どういった形のお墓が望ましいのか見ていく必要があります。
・一般墓
従来のような一般的なお墓です。
現在では洋風の横に長い石のお墓もあり、様々な形があります。
管理費がかかり、お墓の大きさによって変わります。
「永代供養」がついていない場所もあります。
ただ、お墓を継いでいく必要があるため、継いでいってもらえるか不安な場合には、この選択肢はあまりおすすめしません。
また、墓石代もそのほかに比べて高くなります。
・永代供養(えいたいくよう)墓
永代供養がついているお墓です。
永代供養とは、お寺などが半永久的にお経をあげて供養していってくれる形のことをいいます。
ですので、お墓やお骨が無縁になるということがありません。
見ていく人がいないという人、負担をかけさせたくないという人に選ばれています。
永代供養墓にはいろいろな形があります。個別で眠れるものや、他の人と一緒になる合祀のもの、永代供養も○○回忌まで、といったように期限があるものもあります。
・樹木葬(じゅもくそう)
大きな墓石の代わりに樹木をシンボルとして植え、その周囲に納骨する方法です。
基本土に還ります。
樹木すぐ下に埋め、誰がどこに眠っているのか判別のつかないものから、個別にそれぞれ墓石があるものなど、こちらも色々な形、環境、条件があります。
シンボルにする樹木も様々です。
また、永代供養がついている場所がほとんどです。
場所を選ぶ時のポイントは?
引っ越し先の墓地を決める際に重視するポイントはいくつかあります。
〇条件
・何人まで入れるのか
・ほかの人とお骨を一緒にする合祀はあるのか。合祀に対して自分はどう思うのか。
・管理費はかかるのか。かかるならいくらかかるのか。
・永代供養はどういう形でいつまで行われるのか。
・どういった形で埋蔵するのか。骨壺のまま?土に還る?
〇環境
・アクセスは良いのか。
車で行けるだけでなく、車がない場合どうやって行くのか。
・樹木葬なら、その樹木は長期的な時間を見越したものであるか。
・自然など、自分の望む環境であるか。
・民営の場合、管理する石材店や土地を持っている宗教法人は安心できるところか。
・目の前で個別にお参り出来るか
・管理がきちんとされているか
以上のような条件をしっかりと話を聞き、納得して決める必要があります。
役所で申請をする
引っ越し先を決めたら、その新しい墓地から「永代使用許可証(えいたいしようきょかしょう)」というここをお墓として使っていいですよという許可証や、希望すれば、「受入証明書」というものを発行してもらえます。
そして役所で「改葬許可申請(かいそうきょかしんせい)」というものを提出します。
これは元のお墓がある市区町村の役場で出すことが多いです。しかし、書類の形式や必要なもの、発行までの時間などは市区町村によって異なります。元のお墓がある市区町村の役場で何が必要か確認する必要があります。
その「改葬許可申請」の様式も市区町村によって異なります。
多くの場合、申請者の情報と共に、
・お骨を移動させる人の情報(名前、亡くなった年月日、本籍、続柄など)
・現在のお墓がある墓地の管理者(寺、地域の自治会長など)
が必要になります。
ですので、用紙に現在のお墓の管理者の一筆が必要になります。
会いたくないといった場合には、郵送でやり取りができるかも確認した方がよいです。
亡くなった人の情報や、管理者が分からない…など、分からないところがある場合にはどのように記入したらよいかは自治体によって異なります。
またこの用紙をホームページでダウンロードできるところもあれば、直接役所に取りに行かなければならないところもあります。また、遠方の場合、郵送で出来るかどうかも確認した方がいいです。
電話で一度問合せるのも一手です。
無事に申請書に記入ができ、役所に提出すると、「改葬許可証」という書類が発行されます。
それを、新しい方の墓地の管理者に提出します。
実際にお骨を動かす
書類の準備と共に進めるのが、実際にお骨を動かす工程です。
お墓を解体する、墓じまいする場合には、石材店に依頼する必要があります。
現地の業者に頼むのが一般的です。
また、お寺の土地である場合、付き合いがあり、ここにしてくださいという指定の石材店がある場合があります。
市営の霊園の場合には、指定の業者はありません。
お墓を解体したり、お骨をお墓から移動させる際には、通常「魂抜き・性根抜き(たましいぬき・しょうねぬき)」というお経をお寺にあげてもらう事が多いです。
お墓には魂が入っている状態と考えるので、解体するには性根を抜いてものにするという考え方です。
お経をあげてもらったら、お骨の移動や、墓じまいの場合には解体作業が始まります。
魂抜きと必ず同日や直近の日に行わなければならないということはありません。
お骨は直接受け取るか、ゆうパックであれば郵送することもできます。
どのような方法が可能か、業者に確認する必要があります。
新しい墓地に納める
お骨をお墓からあげたら、新しい場所へ納骨します。
納める際にはお墓の開眼供養(かいげんくよう)と納骨供養(のうこつほうよう)を行います。
解体の際に魂抜きのお経をあげているのであれば、お骨を納める際にもお経をあげておくことがベーシックです。
この納骨の日にちもお骨上げから直近の日にちで行う必要はありません。
お骨を一時的に預かる、お骨だけ一旦新しい墓所へ納めておくといったサービスがあるところもあります。
無事に納骨が完了したら、墓じまい、お墓の引っ越しは完了です。
このように墓じまい、お墓の引っ越しは役所への手続きや、日程の調整など、すぐ決めて即日するということはできません。
また、墓じまいしたくとも、親族やお寺などから理解の得られないケースもあります。
しかし、大切な先祖が眠るお墓が荒れ放題になったり、将来の世代が状況が分からず困るといったことになるのであれば、お参りにいけるように、移動を考えることも一手です。
千年オリーブの森に何でもご相談ください
千年オリーブの森では、お墓じまい、お墓の引っ越し(改葬)のお手伝いもしております。
役所ではどのように手続きしたらよいのかお調べすることができます。また、実際の解体工事に行くこともできます。
まずは気になる事、ご不明な点など、お気軽にご相談ください。
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