公開日:2022年03月01日
更新日:2023年02月07日
結婚していないLGBTQのパートナーとも同じお墓に入れますか?
法的に婚姻をしていなくても、同じお墓に入ることはできます。
LGBTQとは
LGBTQとは、女性同性愛者・男性同性愛者・両性愛者・トランスジェンダーの英語表記の頭文字をとったもので、いわゆる性的少数者の総称です。日本では同性での結婚が法律で認められていないため、ほとんどの場合LGBTQのパートナーとは事実婚の状態となっています。
ただし、婚姻届は受理されないものの、パートナーとして証明する制度を設ける自治体は増えており、そういった制度を活用する方法もあります。
当事者の声
・パートナーの葬儀に呼んでもらえなかった
・葬儀で家族席に座れず、友人のふりをさせられた
・お寺さんに差別的な発言をされた
・通常男女で分かれている戒名に違和感を感じる
当事者の心配事
・一緒にお墓に入りたいのに散骨しか選択肢はないの
・パートナーと一緒に入れるお墓はどこにあるの
・理解のない葬儀社に身体(遺体)を見られることが心配
・エンディングに関わる事業者からパートナーが差別的な扱いを受けないか心配
・LGBTQに理解のある事業者がどこにあるか情報が全くなくて困っている
・お墓や葬式だって愛するパートナーと望むものを利用したい
・葬送業界は社会の中でもLGBTQに対しての理解や対応が遅れていて温かい対応をしてもらえるとは思わない。
LGBTのパートナーとお墓に入れる?
基本的にはLGBTQのパートナーと一緒にお墓に入れるかどうかは、そのお墓を運営するお寺や霊園の規定によります。
一緒のお墓に入る人は、法律で定められているわけではないので、霊園が許せば家族でなくても問題ありません。
ただし、霊園によっては何親等までの親族と定めている場合もあり、そういった霊園では一緒のお墓に入れないか、パートナーとして事実婚の状態にあるという証拠を示して相談する必要があります。
最近では、LGBTQのパートナーでも一緒のお墓に入ることを認める霊園も増えているので、同じお墓に入れなくて困るということはないでしょう。
インターネット上で調べるだけでなく、一緒に入れると提示している霊園で一度話を聞いてみるのも手です。
自身の事を話さずとも、できるのかどうかを聞いてみても良いかもしれません。
LGBTQのパートナーとお墓に入る場合の注意
・本人たちが一緒のお墓に入りたいと思い、霊園がそれを認めていれば入籍していなくても一緒のお墓に入ることは可能です。
とはいえ、お墓は現代でも「家」が継承していくものであり、親族が代々同じお墓に入るという考え方があります。
・家庭によっては、法律的に家族になっていないパートナーが同じお墓に入ることを良く思わない場合もあります。
まずはパートナーと相談し、できれば早い段階で親族に説明し、理解を得ておく必要があるでしょう。どうしても理解が得られない場合は、別のお墓を建てたり、樹木葬など従来とは違った形での埋葬方法もありますから、親族と相談を重ねながらじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
法的な面から備えられること
任意後見契約、死後事務委任契約、公正証書遺言を作成しておくことをおすすめします。
・任意後見契約
認知症や障害によって判断ができなくなる、能力が不十分になった際に、あらかじめ決めておいた人に自身が「生きている間」に代わりにやってもらいたいことを決めておけます。報酬は双方で相談した額を契約書に記載します。
任意後見は柔軟に内容を相談の上変えることが出来ます。
この任意後見をパートナーでお互いで入れ替えて契約を結んでおくことで、自身が判断ができないといった状況に陥った際にパートナーに判断をしてもらうことが出来るようになります。
・死後事務委任契約
自分が亡くなったあと、葬儀や埋葬の手続き、またその他の諸々の手続きを「この人に任せる」と指定することができます。上述の任意後見はあくまで生きている段階での話で、亡くなったあとのことまでは含まれていません。
これをしておくことで、パートナーが亡くなった後手続きをさせてもらえない、一緒に眠れない、お骨を引き取らせてもらえないといったトラブルの危険性を低くすることが出来ます。
・公正証書遺言
遺言書では自身の財産を誰にどの分配分するかを指定することができます。
公証人と呼ばれる法務省から任命された人が作成するため、執行力があり、改ざん、隠蔽される恐れがありません。
この遺言書がある場合、原則相続は遺言書通りに実行されます。相続人全員が同意した時に限り、遺言とは別の割り振りで相続をすることができます。
このことでパートナーに財産をきちんと引き継がせることが出来ます。
まとめ
お墓に入る人は、法律で規定がありませんので、霊園や親族が認めれば籍の入っていないLGBTのパートナーでも入籍することができます。最近は、多様な家族の在り方を認める霊園やお寺の墓地も増えているので、事実婚のカップルの納骨を認めるお墓を見つけるのはそれほど大変ではありません。一族代々のお墓に一緒に入りたい場合は、その霊園の規定に加えて、親族の理解を得る必要がありますので、早めに相談しておくようにしましょう。
執筆者:株式会社西鶴 代表取締役 山本一郎
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